2006年03月04日
■ サム -あたたかな奇跡-
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私達がごく当たり前だと思っていることが、実はすごく感謝するに値するものなのだと、改めて思わされます。
サム・ライトナーという一人の少年の物語。
「形成異常」という難病を抱えた少年の、痛々しいまでの闘いをつづった記録です。
いわゆる「先天性奇形」といわれるもので、サムの顔左半分は大きく膨れてしまっています。彼を見る人々の目はそこに集中し、心無い言葉をかけられることもしばしば。
「かっこ良くなりたいわけじゃない。ただもう少しふつうの顔になりたいだけ」
そのサムの言葉が、全てを物語っています。
治療法もない、危険すぎて手術もできない、そんな八方塞りの状況に思わず同情をしてしまうのですが、サムと、サムを取り囲む人たちの優しさに触れることができて、読み進むうちに本当に奇跡を感じます。
地元の新聞や、この本を出版するにあたっての取材に全てサム自身がOKを出しているのですが、その理由はただひとつ。
「本当の自分を知ってもらいたいから」
特別ではなく、どこにでもいる一人の少年の言葉を聞いてほしいのだと、サムは言っています。
私達は、日々いろんな思いを感じながら暮らしています。泣いたり、笑ったり、怒ったり。すばらしい1日もあれば、あまりいい1日ではないこともあります。ですが、それら全てはものすごく大切な、貴重な宝物なのだと、実感せずにはいられません。
この本は、トム・ホールマンというジャーナリストの方が、3年もの月日をかけて取材を重ね、書き上げた本です。手術室での医師の会話、看護士たちの心の葛藤、そして両親とサム本人の思いが重みを持って伝わってきます。
決して同情を集めるための本ではなく、ただ純粋に、ここに今生きているサム・ライトナーという一人の人間の、生きることへの闘いを描いた本なのだと、私は思います。
投稿者 Naomi : 2006年03月04日 21:03

